先日、最近ランニングを始めた整形外科ドクターと話していて、「低酸素トレーニングって、加圧トレーニングと同じなのでは?」と言われました。「おお、そこに気づくか〜!鋭い!」
そうです、低酸素トレーニングは全身の加圧トレーニングです。加圧トレーニングは手足にしか使えませんが、低酸素トレーニングは手足どころか体幹から心臓まで。
もちろん、加圧トレーニングには圧迫と解放による毛細血管の解放など、低酸素トレーニングにはないメリットもあります。
共通点は「成長ホルモンの分泌」です。
https://journals.humankinetics.com/doi/abs/10.1123/ijspp.5.4.497
『標高2000m以上の低酸素環境下での安静時暴露やレジスタンストレーニング及び高強度運動は、成長ホルモン分泌を促進させる傾向があることが明らかとなった。低酸素環境(人工的)
では、成長ホルモンとは?
小児の成長に欠くことのできない重要なホルモンですが、成人では激減します。しかし、不要になったわけではなく、成長ホルモンが低下することによって代謝にかかわる以下のような症状が起こります。
コレステロールが上がる
成長ホルモンが分泌されることにより最終的には血中のコレステロールを低下させる働きがあります。この機序は不明ですが、動脈硬化が改善することにより脂質異常症が改善する可能性があります。高脂血症の薬を飲むよりもナチュラルに脂質異常症を改善してくれます。ちなみに従来「高脂血症のため動脈硬化が起こる」と信じられてきましたが、「傷んだ血管をコレステロールで修復するため肝臓でコレステロールを作る」というのが新しい考えです。まだまだ議論のあるところではありますが、副作用のある高脂血症の薬を飲むよりも、動脈硬化を起こさないために、食生活に気をつけ血糖値を上げない(血管を傷つけない)ことと、運動して成長ホルモンの分泌を促す方が理にかなっているのではないでしょうか?
心筋梗塞や狭心症の危険
成長ホルモンが出なくなると、心臓の機能が徐々に低下していきます。また、動脈硬化が進み、心筋梗塞や狭心症に至る可能性もあります。
内臓脂肪が増え、肥満症になる
成長ホルモンは、骨格や筋肉を発達させたり、脂肪を分解したり、体内のナトリウムバランスを維持するなど、わたしたちの体を構成する組織の維持に重要な役割を担っています。その成長ホルモンが欠乏すると、体脂肪(とくに内臓脂肪)が増加し筋肉量が減少します。
糖尿病になりやすい
成長ホルモンが出なくなることによって内臓脂肪が増え、インスリンの働きが悪くなります。インスリンには、体内のブドウ糖を筋肉や肝臓などの組織に取り込ませる働きがあります。そのインスリンの働きが悪くなると、血糖が下がらなくなり、糖尿病となります。
骨が弱くなる
成長ホルモンは、子どものときの身長を伸ばす作用に限らず、大人になってからも骨の健康維持に大切な役割を果たしています。ですから、成長ホルモンが出なくなると骨が弱くなり、骨粗鬆症になったり骨折したりします。
疲れやすくなる
成長ホルモンが出なくなると、筋肉量が減少していきます。それは筋力低下にもつながります。さらに心臓の機能が低下することによって、運動能力も低下し、スポーツはもちろん、日常生活にも支障があらわれます。
皮膚がカサカサ、薄い
成長ホルモンが出なくなると、皮膚は乾燥し、薄くなります。これは、発汗量が減少し、皮膚に潤いがなくなるためです。また、発汗量が減少するということは、体の表面から熱が発散されにくくなり、体温の上昇につながります。これは運動機能が低下する原因にもなります。
これらの症状を防ぐことがアンチエイジングに繋がります。低酸素トレーニングで成長ホルモンを出して、