短期間でマラソンの自己ベスト更新が相次ぐなど、アスリートのトレーニング効果はよく知られているSAM低酸素トレーニングですが、それ以外にも様々な効果が期待されています。
プレコンディショニングという言葉を聞いたことがありますか?一般の方には馴染みのない言葉ですよね。実はこれ、医学用語で、ある現象を指す言葉です。
プレコンディショニング:心筋梗塞が起こる前に、軽い虚血があると、心筋は細胞死を免れる。
つまり、細胞に届く酸素が一時的に減る状況があると、細胞内で変化が起こり、低酸素への抵抗力が強くなり、その後の強力な虚血にでも生き残る事ができる、という現象です。いわゆる、激しい運動の前に行う準備運動のような感じでしょうか?いきなり激しい運動することには耐えられないけど、準備運動しておくと耐えられる、ような。この現象は心筋細胞や脳細胞など様々な細胞で認められ、研究対象になっています。そして、この時起こる細胞内での変化と同じ現象を、低酸素ではなく薬物(麻酔薬)を使って起こせないかという研究をかつてアメリカでしてました。その時私が注目していたのは、ミトコンドリアでした。
https://insights.ovid.com/crossref?an=00000542-200112000-00024
なので、「低酸素トレーニング」なるものを知った時、「これもしかしたらプレコンディショニングかも?」とひらめき、道内のスポーツジムで最初の「低酸素室」を作ってしまいました。
今はマラソンランナーとダイエットの会員さんに低酸素室使っていただいてますが、それ以外にも、低酸素トレーニングには無限の可能性があります。その中でも私の注目しているのは「低酸素は脳、脊髄障害の治療となりうるか?」ということです。
脳や脊髄などの障害(外傷や脳梗塞、認知症やその他の中枢神経疾患による)は現在のところ薬物治療で根治するのはかなり難しいです。一度死んでしまった脳、脊髄の細胞は簡単には再生しないので。ここで登場するのが「ポストコンディショニング」という考えで、後から低酸素にしても、機能を回復させる可能性があります。
また、プレコンディショニングは認知症など慢性的な中枢神経疾患の予防の可能性もあると期待されています。
低酸素トレーニングが普及したら、心筋梗塞や脳梗塞、認知症などが激減するかも?
これが本当だったら、国民医療費大幅削減できますね。とりあえず自分の認知症予防のため低酸素トレーニング続けます。