トレーニングには色々な方法がありますが、目的によって最適なトレーニング方法は違います。
今回紹介する論文は低酸素トレーニングによるミトコンドリアの機能の変化を調べています。トレーニング方法は、かなりの負荷(話ができないくらい)をかけて走れなくなるまでの時間を測定するという、キツそうな方法です。対象がアスリートだからいいかも知れませんが、市民ランナーには難しい方法ですね。
https://www.physiology.org/doi/pdf/10.1152/japplphysiol.00361.2005
15人のアスリートを14.5%の低酸素群8人と常酸素群7人に分け、トレッドミルでVT2(話ができない程度の負荷)で週二回、6週間、通常のトレーニングメニューに加えた。トレーニングの効果を検証するため、酸素摂取量、VT2の速度、最大酸素摂取量、最大酸素摂取量の負荷の時に動けなくなるまでの時間を測定した。足の筋肉を採取して筋肉の酸化能とミトコンドリア呼吸のADP感受性を調べた。
走れなくなるまでの時間は低酸素トレーニング群で延びたが常酸素群では変わらなかった。ミトコンドリアの呼吸感受性は低酸素群のみ亢進した。つまり低酸素トレーニングでミトコンドリアのエネルギー産生能はアップし、走力も強化された。
通常トレーニングに低酸素トレーニングを加えることによりミトコンドリア機能が改善する。
かなり激しいトレーニングなのですが、興味深いのは通常酸素濃度では効果がなかったということ。激しいトレーニングも無駄な努力になってしまっている可能性があるということですね。もちろんこれは普段からかなり鍛えているアスリートの話なので、市民ランナーには当てはまらないでしょう。ただ、「やりさえすれば効果がある」とはならないので、常に効率の良い練習を考えていた方がいいですね。無駄な努力で怪我してしまっては目も当てられません。