※この文章は、北海道医師会の広報誌である『北海道医報』に掲載された文章を加筆修正したものです。
「ととのう」到来!
(3)第3次サウナブーム
2015年前後を起源とする第3次ブームが起こった一因としてフィンランド式への回帰がある。ロウリュにより体感温度が急上昇すると、やはり熱いものは熱い。ただしその苦痛はすぐに過ぎ去り、次のロウリュまでしばし平穏が訪れるところは、常に吸気で鼻腔まで焼けそうなカラカラ高温サウナとの違いである。
しかしフィンランド式だけがブームの要因にあらず、SNSによる口コミ、サウナ番組、サウナ本、YouTubeなどによる後押しもあってのこと。
そして最も重要なのは、水風呂後の休憩中におとずれる「ととのう」という、体験した者にしかわからない極楽・トランス状態の認知である。そう、欠けていた大事なものは「休憩」であった。実際、ととのうが病みつきになり人はサウナの沼にどっぷりハマる。ととのうメカニズムは「交感神経優位から副交感神経優位に切り替わる時のディープリラックス状態」や「幸せホルモン、オキシトシンやセロトニン、内因性麻薬βエンドルフィンによる超快楽」など諸説入り乱れている。ともあれ、この「ととのう」が老若男女をサウナに駆り立て、禁断症状を発症し、SNSなどを介して広まったのが第3次サウナブームの主因であろう。

(4)サウナの御利益
経営者やビジネスエリートがハマるサウナには集中力を高め、アイデアが湧き出る効果が知られている。ノンレム睡眠の時間が長くなり睡眠の質が上がり、フィンランドの研究では認知症リスクが60%以上低下した。
サウナに入る回数が多いほど脳卒中、心臓病、がん、うつ病になる確率が下がると報告されている。他にもリラクゼーション、リフレッシュ、ストレスリリース、幸福感、美肌、メンタルヘルスへの効果など数多くの効能が知られている。
また、免疫能向上が報告されており、コロナ禍においてもサウナが重要な役割を果たすことは間違いない。