成長ホルモンの分泌は加齢に伴って減少することが知られています。思春期にピークを迎えた後、成人期には50%以下、その後10年に14%減少していき、70歳代では30%以下の分泌量となってしまいます。
成長ホルモンの作用にはどのようなものがあるでしょうか?
- 骨の成長
- 全身の臓器、器官の成長
- 健康な皮膚や毛髪を作る
- 脂質の代謝を促し、脂肪を燃焼する
- 糖代謝の正常な状態を維持し、血糖値を正常に保つ、終末糖化産物の発生を抑える
- 血圧を下げる
- 傷の治りを促す
- 疲労回復
- 消化管粘膜の修復
- 生殖機能に影響を及ぼす
- 記憶力を高める
- 精神的な安定を保つ
- 意欲を高める
そのため成長ホルモンが低下すると、エネルギー代謝が低下し、疲れやすさ・スタミナ低下・集中力低下・気力低下・認知機能低下・うつ状態・性欲低下などと同時に、骨密度の減少・筋肉量の減少・内臓脂肪の蓄積、皮膚が乾燥したり汗をかきにくくなるなどの症状を認めるようになります。まさにこれは加齢で認められる症状そのものであり、加齢に伴う成長ホルモン分泌低下の事実と併せて、成長ホルモンのアンチエイジング効果に注目が集まっているのです。
成長ホルモンの増やし方
1.睡眠
若年者では睡眠最初の深いノンレム睡眠で熟睡している時に最も活発に分泌されますが、50歳以降では睡眠時の成長ホルモン分泌のピークはほとんど消失します。歳をとると睡眠の質が悪くなるから成長ホルモンが出ないのか、しっかり睡眠をとっても出ないのかは分かりません。いずれにしても、睡眠はしっかりとるに越したことはないでしょう。
2.有酸素運動
筋トレと有酸素運動が成長ホルモン分泌に及ぼす影響を調べた研究によると、有酸素運動を2時間行うと成長ホルモンの分泌が促進し1時間の有酸素運動と無酸素運動(筋トレ)では効果がなかったということが分かりました。
Medicine & Science in Sports & Exercise:October 2014 – Volume 46 – Issue 10 – p 1917–1927 Twenty-Hour Growth Hormone Secretory Profiles after Aerobic and Resistance Exercise
2時間有酸素運動続けるというのはなかなか大変です。そこは、30分で2時間分の効果があると言われている「低酸素トレーニング」で。
3.肉
タンパク質の構成成分であるアルギニンというアミノ酸は、代謝産物である一酸化窒素を介して成長ホルモン分泌を促進すると考えられています。
4.空腹
空腹時には成長ホルモンが分泌され血糖値を上げます。つまり、常に血糖値が高い状態が続けば成長ホルモン分泌が抑えられてしまいます。
5.低酸素トレーニング
国立スポーツ科学センター(JISS)で、12名の健康な成人男性に常酸素環境と低酸素環境で筋トレを行ってもらい、その際の血液中の乳酸、カテコールアミン、そして成長ホルモンの濃度を測定しました。その結果、低酸素環境で筋トレを行った方が、常酸素環境で行った場合よりも高い成長ホルモンの値を示しました。
つまり
「低酸素下で筋トレや有酸素運動して、糖質を摂り過ぎず、間食を控え、肉をしっかり食べる」ことで成長ホルモンを出していつまでも若々しく。