フォアフットランニングへの道(11)つまさきが先か、かかとが先か。

「フォアフットランニングだろうとヒールストライクだろうと体が受ける衝撃は同じです。」

「着地衝撃を減らすにはフォアフットが良い」って言ってなかった?もう宗旨替え?と思ってます?

実は、上記の条件下では、どちらもトータルの着地衝撃は同じなんです。違いは着地衝撃を吸収する部位の違い。

かかと着地(ヒールストライク)で膝関節を伸ばした状態で着地した場合、衝撃はかかとから2つの関節(軟骨)を経て下腿の骨(脛骨)に伝わり、膝関節(半月板)に達するまで、全て骨と関節軟骨で吸収されます。この間、筋肉による衝撃吸収はほぼ起こらず、ほぼダイレクトに膝関節まで届きます。

一方、フォアフットの場合、最初に足底のアーチがつぶれ、筋肉(赤点線)が引き延ばされることによって衝撃を吸収します。

さらに足首が曲げられる方向に力が働き、アキレス腱とふくらはぎの筋肉が引き延ばされつつ張力を発生し衝撃を吸収します。

このようにヒールストライクは「骨と軟骨」が衝撃吸収の主役で、フォアフットランニングでは「腱と筋肉」が主役です。衝撃吸収能では圧倒的に「腱と筋肉」の勝ちです。

ちなみにフラット着地ではアキレス腱とふくらはぎによる衝撃吸収は生きていますが、下腿の骨がかなりかかと寄りについているため、足底による衝撃吸収はあまり機能しません。

そして、フォアフットランニングでもヒールストライクでもトータルで受ける衝撃は同じなので、膝までにあまり衝撃吸収できないヒールストライクは膝とその上の部分で衝撃を吸収しなくてはならず、これが故障の原因となります。

そして、耐久性においては「軟骨」が弱点となり、最も不安定な関節である「膝」にダイレクトに衝撃が達してしまうヒールストライク走法で半月板損傷などの関節破壊が起こるわけです。

特にやってはいけないのは「爪先上げ着地」です。爪先を上げると膝がロック(真っ直ぐ延びたところで固定される)します。そうなると膝関節による衝撃吸収はほぼゼロになり半月板直撃です。さらに吸収しきれなかった衝撃は股関節にも襲いかかります。

これ、ちょっと前のランニング雑誌に載ってた風、かっこいい走り方?

筋肉は鍛えられますが、軟骨は鍛えられず、膝の半月板は血流が乏しい組織なので、一度壊れると回復は難しいです。(繊維軟骨という、ちょっと性能の落ちる軟骨に置き換わる可能性はあります)

もちろんフォアフットランニングと言えども、いきなり腱や筋肉に大きな力が加わったり、長期間衝撃がかかり続けると故障します。ゆっくり大事に鍛えましょう。

関連記事一覧

営業日カレンダー(オレンジ色は休業日)

1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31

最近の記事

LINEお友達登録お願いします

PAGE TOP