コレステロールの薬は飲んだ方がいいのでしょうか?(その2)

友人から「コレステロールの薬って飲んだ方がいいの?」って聞かれました。これたまに知り合いや患者さんからも聞かれます。

この件に関して、残念ながらグーグル先生は無力…。というわけで、いちいち答えるのが大変なので、今度から「ブログ読んでくれ」で済ませるために書きます。

いきなり結論。

その前にやるべきことはたくさんある!

では、何をすべきか?を書こうかとも思いましたが、それ簡単に書いちゃうと絶対やらないよね。なので、基礎の基礎から書いていきます。たぶんすごく長くなります。本気の人だけ読んでください。

1.コレステロールが多いと何が危ないのか?

ズバリ、動脈硬化。からの心筋梗塞、脳梗塞など。確かに動脈硬化になってる人はコレステロールが高いですが、コレステロールが多いことは動脈硬化の直接の原因ではありません。コレステロールは必要だから肝臓が作ってるんです。もちろん食事から吸収される分もあります。

2.なぜ肝臓がコレステロールを作るのか?

コレステロールは脳、内臓、筋肉など全身に広く分布しており、細胞膜、性ホルモンや副腎皮質ホルモン、脂肪の消化吸収を助ける胆汁の材料などになります。生きていく上で絶対必要。そしてもう一つの重要な働きが、「傷んだ血管を修復する」ということ。これこそが動脈硬化の本当の姿。コレステロールがいくら多かろうと健康な血管にコレステロールが溜まって詰まることはまずありません。(家族性高コレステロール血症のように異常に高値になっている場合は起こりうるかも知れません)多くの場合は、血管の傷を治そうとしてコレステロールが増えるのです。

3.誰が血管を傷つけるのか?

コレステロールは動脈硬化の現場にいつもいるので犯人と間違われてました。実は犯人ではなく、一生懸命傷を治す修理屋さんでした。
では血管を傷つける犯人は?ズバリ「糖」と「酸化」。「糖」はブドウ糖、果糖など。砂糖はブドウ糖と果糖が一対一で結合したもので消化吸収されるとブドウ糖と果糖に分かれます。「蜂蜜は天然だから大丈夫?」と言う人わりといますが、成分はほとんどブドウ糖と果糖だからダメ。オリゴ糖は糖がたくさん結合したものだけど、数種類あって、大腸に運ばれるまで分解されず、大腸で腸内細菌の餌になるので糖として体に吸収されないため大丈夫なものもあります。
「酸化」は活性酸素。紫外線、放射線、大気汚染、たばこ、薬剤、トランス脂肪酸、過度な運動やストレスが活性酸素を増やす原因になります。これらに触れる機会を減らすことも必要ですが、完全になくすることはできない(呼吸するだけで数パーセントは活性酸素が生じます)ので活性酸素を消す抗酸化物質、ビタミンE、C、A、ポリフェノール、EPAなどを摂ることや内因性の抗酸化物質であるSOD、カタラーゼなどを増やす(低酸素トレーニングが有効)ことにより、酸化を防げます。

4.血管を傷つける犯人を野放しにして置いたままコレステロールを減らしても意味がない。

薬を飲んでコレステロールの値を正常範囲に収めたとしても、血管の傷を放置すればいずれ障害が起こります。なので最初にすべきは「血管を傷つけない」つまり糖と酸化に気をつける。ここまではとても単純でわかりやすい話です。しかし、時すでに遅く、傷ついて動脈硬化になってしまっている血管を治しに行くのは…そう単純な話ではないです。(続く)


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