40歳を前にして走り出したわけ

走れば、スリムな体と健康が手に入る。ことは知らなかった。

幼少期から「長続きしない」子供だった。大人になっても、その性格を引きずっていた。

30代半ば、健康上の問題はほとんどなく(血圧は若干上がっていた)、年に一回風邪をひくことはあっても仕事に穴をあけるようなことはなかったし、病気知らずだった。しかし、腹囲は自分の下半身が見えないほど肥大化し、小学生になって少しずつ距離を感じつつあった娘たちに「かっこ悪いお父さん」のせいで肩身の狭い思いをさせて、さらに距離があくのではという危機感が増してきた。

様々なお手軽ダイエットに手を出し、少し痩せてはリバウンドして、自分史上最高記録を更新し続ける間に数年が過ぎた。

もちろん、健康にやせるためには運動が必要だと知っていたので、スポーツジムに行き、テニスを習い、いろんな運動をつまみ食いし「運動は続かない」を痛感し、「効果を実感できないものは続けられない」ことが分かった。いや、「自分には根気がない」という事実を突きつけられたに過ぎない。

30代もほぼ終わりに差し掛かった頃、“たまたま”自分の周りで「マラソンやってる」人と初めて出会い、走る世界に足を踏み入れた。もしその出会いがなかったら…今、メタボに違いない。血圧の薬くらい飲んでいただろう、もしかしたら心筋梗塞くらいにはなっていたかも。

元々走るのが得意ではなかった。マラソンなどという苦行には興味なく、学生時代のマラソン大会の辛い思い出しか持ち合わせない自分が、走り始めたことに一番驚いたのは自分自身だった。

当時、ただ走るだけで激やせするとは思ってなかったし、風邪をひかなくなるほどの健康体が得られるなんて想像もしていない。

では、なぜ“悪魔の誘い”に飛びついたのか?

大きな危機が迫っていたからである。「父親参観日」という名の品評会が。それ以外にも、「〇〇ちゃんのお父さん」として出ていかなければならない場面は度々あった。

小学校高学年になり、父親の容姿をどれほど気にしていたかはわからないが、少なくとも、父親がカッコ悪いよりはカッコいい方が良いはず。いまさら顔はどうしようもないが、お腹凹ますくらいのことはしてやりたかった。いや、普段から「やればできる」と偉そうに言っているくせに「そのたるんだお腹は何?」と反撃をくらうようになるまで、残された時間はそう長くないと思われ、か細いワラをつかんだ。

そして15年の月日が流れ、今もまだ走り続けている。幸い何の病気もなく薬も飲んでいない。体重も自分のコントロールの範囲に収まっている。

「何をやっても続かない」自分が「続いている」ことに再び驚いている。走ることのご利益はそれほど大きかった。

しかし、何もなく15年続いた訳でもない。たまたま続いただけかも知れない。その分、落とし穴は経験してきた。エリートランナーではないからこそ、伝えられ、役に立つこともあるだろう。この経験が、これから走り始めるランナーさん、挫折しそうになっているランナーさんの助けになることを望んでいる。

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